小規模企業白書

毎年経済産業省から中小企業白書というものが公表されています。

2015年から、中小企業の中でもさらに小規模事業者に絞った、小規模企業白書というものが公表されるようになりました。

税理士のお客様のメインは小規模事業者になりますので、今回は小規模企業白書の内容から、小規模事業者の動向について記載したいと思います。

中小企業と小規模事業者の定義

中小企業と小規模事業者の定義に関しては以下の表を参考にして下さい。

小規模事業者の定義

税理士の顧客の多くは小規模事業者です。弊社のお客様も大半が小規模事業者に該当しています。

下の図でもわかる通り、日本は99.7%が中小企業が占めており、その中でも小規模事業者が85.1%を占めています。

但し、大企業の数は全体の0.3%しかありませんが、従業者の数で見ると、その大企業が全体の約3割を占めています。

小規模事業者の数

小規模事業者数の推移

小規模事業者数(法人+個人事業者数)で見ると、小規模事業者数は1986年の約477万者をピークに減少に転じ、2014年に約325万者となっており、28 年間で約152万者が減少(▲32%)したことになります。

これは、平均して年間約5.4万者のペースで 減少していることになります。

近年では、2009年から2012年までの3年間で約33万者が減少(▲9%)し、平均して年間約11万者のペースで減少していたが、直近の2012年から2014年までの2年間では約9.2万者が減少(▲2.7%)し、年間約4.6万者のペースで減少していることになり、減少のペースが緩やかになったといえます。

小規模事業者数の推移

小規模事業者数が減少した背景

第1-1-44図は、年齢階級別に見た自営業主数について年代別に示したものです。

これを見ると1982年における自営業主数は30代から40代にかけて最も多く存在し、70代以上は相対的に少数でした。

時間の経過とともに、最も多くの自営業主が属する年代が上昇し、1982年から30年が経過した2012年には70代以上に最も多くの自営業主が存在することとなりました。

さらに、2012年から2014年にかけての2年間で、70 代以上の自営業主の数は約5万人増加し、約80万 人となりました。

一段と経営者の高齢化が進んでいる ことがうかがえます。

また、20代から30代にかけての若手の自営業 主数も1982年から2014年にかけて減少していることが分かります。

小規模事業者数の推移

 税理士の数の推移

 国税庁のホームページで公表されている税理士登録者数の推移は以下の通りです。

 ここ数年は微増傾向で約7万5千人程の登録者数です。

税理士登録者数

まとめ

税理士の数は微増で推移していますが、税理士の主な顧客である小規模事業者数は減少の一途を辿っています。

また、小規模事業者の年齢構成をみると70代以上が最も多く80万人いることを考えると、今後も小規模事業者の数は減り続けることが容易に予想できます。

一方で、小規模事業者を主な顧客とする税理士の数は、年々増加しているのが現状です。

つまり、今後の税理士業界はますます競争が激化していくであろうことが容易に想像できます。

税理士にとっては非常に厳しい調査結果ですが、この様な状況の中でもお客様から選ばれる税理士になる為に、日々研鑽して他の税理士との差別化を図りながら最高のサービスを提供して行けるように努力して行きたいと思います。