税理士となった資格の分布(第6回税理士実態調査より)
税理士となった資格は、「試験合格」がもっとも多く、回答者32,747人中15,035人(45.9%)であり、次いで「試験免除」12,173人(37.2%)、「特試合格」2,936人(9.0%)です。
毎回の調査でトップを占めているのは「試験合格」であり、その割合が増えています。
次いで「試験免除」もその割合が増えており、今回の調査では37.2%となっています。
一方「特試合格」は、前回25.0%から9.0%と、大きく減少しました。
税理士になる為には
税理士になる為には、税理士試験に合格する以外にも色々な方法があります。
税理士になる方法別に記載したいと思います。
税理士試験合格者
試験は、会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目と税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択しなければなりません。)について行われます。
なお、税理士試験は科目合格制をとっており、受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよいことになっています。
試験免除
試験免除には大きく分けて以下の2種類があります。
大学院で一定の修士論文の執筆と単位を修得した場合
大学院において、税法に属する科目等または会計学に属する科目等に関する研究で修士の学位を取得し、国税庁に設置されている国税審議会より認定を受けた場合には、税法に属する科目等または会計学に属する科目等の税理士試験の試験科目が免除されます。
認定を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。(税理士法第7条)
税法に属する科目の認定を受けるためには、大学院において所得税法や法人税法等の税法に属する科目等の研究により修士の学位を授与されていること。
会計学に属する科目の認定を受けるためには、大学院において簿記論や財務諸表論等の会計学に属する科目等の研究により修士の学位を授与されていること。
税理士試験において、申請する分野(税法に属する科目等または会計学に属する科目等)の試験科目のうち、1科目の試験に合格していること。
つまり、税法に属する科目についていえば、税理士試験において税法に属する科目のうちの1科目に合格し、大学院で税法に属する科目の研究によって修士の学位を授与された場合は、国税審議会に申請して認定を受けることによって、税法に属する科目等の試験科目が免除されます。
税務署等に一定の期間勤務した場合
一般的には税務署に23年以上勤務した場合は、税理士試験が全て免除されます。
特別試験合格者
現在は廃止になった制度ですが、税務署等に一定の期間勤務した者に対して行われた特別試験に合格した者の事を言うそうです。
弁護士及び公認会計士
弁護士及び公認会計士の資格取得者には税理士の資格が付与されます。
但し、平成26年の税理士法改正により、税理士制度の信頼性向上に資すること等の観点から、公認会計士に自動的に税理士資格が付与されていた制度を改め、平成29年4月1日以後に公認会計士試験に合格した者について、公認会計士法に定める実務補習団体等が実施する研修のうち、一定の税法に関する研修を修了した公認会計士にのみ税理士資格を付与するとされました。
そして、この税法に関する研修は、税理士試験における税法科目の合格者と同程度の学識を習得することができるものとして国税審議会が指定することとされています。
平成27年の登録者の内訳
税理士試験合格者 892人 32.24%
試験免除者 1,326人 47.92%
特別試験合格者 2人 0.07%
公認会計士 483人 17.46%
弁護士 64人 2.31%
平成27年度の登録者だけで見ると、税理士試験合格者よりも試験免除者の方が1.5倍もいます。
まとめ
一般的には税理士となった資格については、あまり知られていないと思います。
税理士試験に合格して税理士になった人は全体の半分以下で、税理士試験以外の方法で税理士になった人の方が多いのが実態です。
23年以上税務署に勤務すると、税理士試験を免除されるため、定年退職した後に税理士登録をする方が多いのが原因だと思います。
税理士の年齢が高いのもこれに起因していると考えられます。
税理士は資格を取得した後も、一生勉強して行かなければならない仕事ですので、税理士となった資格よりも、税理士となった後もどれだけ勉強をしているかが大切だと思います。
ちなみに私は税理士試験に合格して税理士になりました。